不安を正しく理解して【不安症】改善

人間は、日常的に様々な場面で＜不安＞と向き合って生きています。特に現代社会では、ほとんどの人がなんらかの不安を抱えていると言っても過言ではありません。そもそも＜不安＞は人間にとって必要な『自己防衛反応』です。不安を覚えることで、危険回避や有事に備えるといった行動に繋がり、人類は進化してきたと言われています。しかし、現代のような過剰なストレス社会の中では、精神バランスのコントロールが上手く取れなくなり、時に理由もなく急に不安や恐怖が襲ってきたり、ドキドキと緊張状態が続くといった現象に悩まされ、精神的に辛い思いをしている人が急増しています。＜不安症＞と呼ばれる精神疾患として分類され、その数も老若男女問わず増加傾向にあり、現代社会を象徴する疾患としてメンタルヘルスの重要性を物語っています。

不安症とは

過剰な不安感や恐怖心に支配されることで、様々な身体的、精神的症状に発展し、日常生活に支障が出てしまう精神疾患です。

主な不安症のタイプと症状

♦ GAD（全般性不安障害）
特に理由もなく常に漠然とした不安感や恐怖感を持ち続ける疾患で、不眠や倦怠感、思考力の低下などが症状として現れます。

♦ パニック障害

突然、強烈な不安と恐怖の感覚に支配されてしまう疾患で、呼吸困難や動悸、発汗、めまい、吐き気、手足のしびれなどの症状と共に出現します。

♦ 強迫性障害
過剰な不安とこだわりで確認行動を繰り返し、日常生活に大きく支障が出る疾患で、集中力の低下や神経過敏、漠然とした不安感などの精神的症状や、動悸や息切れ、めまい、不眠といった身体症状が出ます。

♦ 外傷後ストレス障害（PTSD)
心身に起こった強烈なショックやストレスが、いつまでも心の傷となって不安や恐怖として現れる疾患で、めまいや頭痛、不眠、情緒不安定などの症状が現れます。

♦ 恐怖症
ある特定の物や生物、行動に対する過剰な恐怖心と心配でパニック状態になる疾患で、過呼吸や動悸、発汗、頭痛、めまい、吐き気などの症状が現れます。

不安症の主な原因

♦ ストレス

人間関係、家族関係、職場環境、過去のトラウマなど。

♦ 医学的要因
甲状腺疾患、心血管系疾患、脳神経疾患に伴う症状や使用される薬剤による副作用、手術などで心身にかかる強いストレスなど。

♦ 遺伝的要因
親族に同様の患者がいる場合。

その他、脳内物質のバランスの乱れや医薬品や物質などの過剰投与も発症の原因として挙げられています。

一般的な不安症の治療法

♦ 薬物療法
抗うつ薬や抗不安薬などを一時的な対策として使用する場合もありますが、効果には個人差もあり、 一旦服用を始めると中断するのが難しい薬ですので 副作用や依存性等も考慮に入れて治療者としっかり連携して慎重に行うことが大変重要です。

♦ 心理療法
不安や恐怖の対象についての認識を変え、それらに対する対処行動を新たにしていく『認知行動療法』や、不安や恐怖の対象に徐々に直面しながら自信回復に導く『曝露療法』など治療者と協力して心理的アプローチで改善を目指します。

自然療法による不安症改善法

生活習慣全般の見直しと共に、＜セロトニン＞や＜ギャバ＞のような脳をリラックスに導く神経伝達物質の分泌を促進するハーブなどを使用したサプリメントを用い、コルチゾールなどのストレスホルモンの過剰分泌を抑制しながら脳内の安定と正常化を図ります。

＜葉酸＞
葉酸は、細胞分裂や赤血球やたんぱく質の合成、神経細胞などに必要なビタミンで、葉酸の欠乏は、うつ病の危険因子であることが複数の研究により明らかになっています。特に『葉酸塩』は、＜血液脳関門＞と呼ばれる血液から脳細胞への異物の侵入を厳密に制限するバリアシステムを透過し、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の分泌に働きかけるため、うつの治療や不安症などの精神疾患の改善に有効だとされています。

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＜テアニン＞

緑茶に含まれる成分で、脳の興奮を和らげ、リラックス状態に導きます。またセロトニンの量を調整する作用もあり、脳内の安定に効果を発揮します。

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＜ホノキオール＞
古くから不安やイライラなどの抑制作用で知られるハーブ『マグノリア』に含まれる成分で、強い鎮静作用でストレスを抑制し、さらにギャバの働きもサポートしながら精神を安定に導く有効成分として注目されています。

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＜生活習慣のポイント＞

♦ バランスの良い食事
過度のアルコールやカフェイン等の刺激物を控え、ビタミンやミネラルなどの栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。

♦ 十分な睡眠

睡眠は脳機能の正常化に最も重要であることから、体内時計に注目し、寝る前には脳の興奮状態を作らない環境を作ることが大切です。スムーズな入眠のために、入浴は就寝の1時間半〜2時間前に済ませ、スマホなどの電子機器は寝る前は控えましょう。

♦ 適度な運動
定期的な運動が、不安症状の改善に効果があることは研究によって実証されており、ウォーキングなどの軽い有酸素運動や筋トレなど、予防のためにも積極的に行いましょう。

♦ ストレス管理
不安を感じると呼吸が浅くなりがちなので、深い呼吸で自律神経を整え、心拍数を安定に導く＜ヨガ＞や＜瞑想＞、＜呼吸法＞などが良いとされています。さらに『自然に触れる』、『趣味の時間を持つ』といった心身がリラックスできる時間を積極的に持つことも推奨されています。症状緩和に有効な成分を含むハーブなどを配合したハーブティーなどもセルフケアの一つに加えるのも良いでしょう。

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不安症は誰にでも起こり得る極めて身近な精神疾患です。日頃から健康に配慮したライフスタイルを心がけ、メンタルヘルスにもしっかりと目を向けながら心身のバランスを維持することは、将来的に発症を防ぎ、健康的な生活を送るための重要な鍵になります。

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Reference: Nutrients. 2019 Oct 3;11(10):2362. doi: 10.3390/nu11102362. Nutrients. 2018 Oct 10;10(10):1468. doi: 10.3390/nu10101468.