【ワイルドライス】 ～健康に良い黒色のライス、その正体は水草の種子～

ひじき、ごま、黒酢、黒豆、黒糖・・・。黒い食べ物は健康や美容に良いと言いますよね。今回ご紹介するワイルドライスも黒々とした、とても栄養価の高い食材です。

ワイルドライスと黒米は同じものなの？

答えはNO！違うものです。

日本では古代米のひとつとしてもおなじみの黒米。これは、中国に起源をもつ稲（学名Oryza sativa）に属するお米の仲間です。短粒米で、モチモチした食感、そしてほんのり甘みがあるのが特徴です。

一方のワイルドライスは、植物分類学上、お米ではありません。川辺や湖畔の湿地帯に自生するマコモ（学名Zizania）という草の「種子」です。バスマティ米（長粒米の一種）のような形状、そして調理方法がお米に類似していることが、「ライス」と称される所以です。プチプチした食感とナッツのような風味があります。

豆知識

マコモ属は4種しかなく、ひとつは中国原産、残り3種は北米原産です。現在ワイルドライスという「穀物」として（本当は水草の種子なのですが・・・）流通しているのは北米原産種です。特にアメリカ・カナダ国境の五大湖周辺はワイルドライスの産地として有名で、ミネソタ州の公式穀物として認定されています。その昔、五大湖周辺に住んでいた先住民のオジブワ族がカヌーを漕ぎながら湖沼に自生するマコモの種子（ワイルドライス）を収穫し、主食としていました。ワイルドライスは、ヒトだけではなく、水生動物にとっても重要な栄養源でした。

今日、その栄養価の高さからスーパーフードのひとつとして注目されているワイルドライスは、自生種の採集だけでなく、北米（五大湖エリア、カリフォルニア、カナダ）やハンガリーでは栽培も行われています。栽培が簡単ではないワイルドライスは値が高いため、少量パッケージ、あるいは他の穀物とブレンドされた商品が販売されています。

主な栄養成分

タンパク質、食物繊維、ビタミンB群、ビタミンE、マンガン、マグネシウム、カリウム、リン、亜鉛など栄養バランスに優れたワイルドライスには、フェノール酸やシナピン酸などの抗酸化物質も豊富に含まれています。

さらに嬉しいのは、低カロリー、グルテンフリーであること。セリアック病やグルテン過敏症の方にも安心してお召し上がりいただけます。

ワイルドライスの効果・効能

♦ 完全タンパク質
ワイルドライスは米類や他の穀物よりもタンパク質が多く含まれています。加えて、そのタンパク質というのが、9種類の必須アミノ酸を全て含む「完全タンパク質」なのです。ワイルドライスは、タンパク質不足になりがちなベジタリアンやビーガンの人にもオススメしたい食材です。

♦ 抗酸化作用 / アンチエイジングや慢性疾患の予防にも
ワイルドライスの抗酸化力は白米の20〜30倍！抗酸化物質は酸化ストレスから細胞や組織を守るので、お肌のアンチエイジングはもちろん、ガン、心血管疾患、炎症など実に多くの疾病に対処・予防が期待できます。

♦ 食物繊維 / 消化機能の改善、心血管疾患や糖尿病の予防など。
ワイルドライスに豊富に含まれる食物繊維が便通を促し、腸内環境を整えてくれます。消化器官が健やかな状態であれば、食物中の栄養素もきちんと体内に吸収されるため、体調アップや体調維持が可能です。また、食物繊維には血中コレステロール値を下げたり、血糖値上昇を抑制する作用があり、心血管疾患や糖尿病の発症リスクを下げる効果もあります。

♦ 心血管疾患の予防
血中コレステロールを下げる働きをする食物繊維に加え、ワイルドライスには血管拡張作用のあるカリウムが含まれています。血管や動脈の緊張を緩和し、心血管系のストレスレベルを下げることで、心筋梗塞、動脈硬化、脳梗塞などの発症リスクを抑えます。

♦ 骨を丈夫に！
ワイルドライスには亜鉛、マグネシウム、マンガン、リンなど、骨組織の生成や維持に不可欠なミネラルが含まれています。疲労骨折や骨粗しょう症の予防にも役立ちます。

♦ 葉酸不足を防ぐ
ビタミンB群のひとつである葉酸。加熱調理したワイルドライス1カップ(164g)には、1日あたりの葉酸推奨摂取量の11%が含まれています。

葉酸は妊娠初期の活発な細胞分裂・成熟には不可欠な栄養素で、この時期の葉酸不足は胎児の神経組織の発達に影響を及ぼします。生まれてくる赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすためにも、葉酸を豊富に含むワイルドライスは妊婦さんにオススメしたい食材のひとつです。

また、葉酸には赤血球の生成を助けたり、動脈硬化を促進するホモシステインというアミノ酸を無害にする働きがあり、あらゆる人にとって大切なビタミンなのです。

♦ 身体のエネルギー作りに
細胞の活動や代謝、体温維持、筋肉を動かすこと、疲労回復・・・　生きていくためにはエネルギーが必要です。そのエネルギー源となるものがアデノシン三リン酸(ATP) という物質。マグネシウムはATPを活性化させる働きをすることで、身体のエネルギー生成に寄与しています。ワイルドライスには、このマグネシウムが多く含まれています。

入手方法

健康食品店やナチュラルフードを取り扱う輸入食材店、あるいはオンラインで入手可能です。

食べ方

ワイルドライスは加熱調理が必要です。茹で時間はお好みの硬さに応じて30〜50分要しますが、一旦加熱してしまえば、冷蔵庫内で数日間、冷凍してしまえば数ヶ月間保存できます。作り置きをしておけば、日々の食事に取り入れやすいでしょう。米類や穀物と混ぜたり、サラダやスープの具材にすると、美味しく、そして簡単に栄養補給が可能ですよ。

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