【ミトコンドリア】

ミトコンドリア──。中学理科や高校生物の授業で学ぶので、多くの方にとっては聞き覚えのある名称でしょう。しかし、ミトコンドリアがどのような働きをしているかを覚えている人は案外少ないのは？　

ヒトの細胞

生物は細胞の集合体。ヒトの体は約37兆個の細胞で構成されているといわれています。細胞は生体の最小単位といわれますが、実際には、細胞１個の中にさらに独自の機能を持つ器官が存在しています。これを細胞小器官と呼び、そのひとつがミトコンドリアです。ミトコンドリアは赤血球を除くほぼ全ての細胞に存在しています。

ミトコンドリアとは？

細胞ひとつの中に数百〜数千個のミトコンドリアが含まれているといわれます。とりわけ骨格筋、心臓、脳、肝臓、腎臓などには多く存在します。また、精子の中片（首の部分）にもミトコンドリアが集まっています。多数のミトコンドリアが存在する組織や器官には「エネルギー需要が高い」という共通点があります。

ミトコンドリアの働き

筋肉・神経・臓器を働かせる、消化や代謝をする、体温を維持する、思考や感情を司る、病気や怪我と闘う──　全てはエネルギー無くして成り立ちません。このエネルギーと呼ばれるものの正体はATP（アデノシン三リン酸）という物質。ATPは細胞が利用できるエネルギー形態で、これを作っているのがミトコンドリアです。　

ATP生成のメカニズム

ミトコンドリア内では、酸素を使って、体に取り込まれた栄養（糖質・脂質・タンパク質）がATPに変換されます。このATP生成過程では様々な酵素や補酵素が触媒的に関与しています。

酸化ストレスに晒されやすいミトコンドリア　

ミトコンドリアはATPを生成する過程で、副産物として活性酸素種（ROS）が発生します。ミトコンドリアには自身が発した活性酸素を除去する力をもつ酵素MnSOD が備わっています。しかし、活性酸素の除去が追いつかなくなると、ミトコンドリアDNAの損傷や分解、あるいは変異の蓄積が起こり、ミトコンドリアの減少や機能低下が生じます。また、損傷したミトコンドリアやミトコンドリア機能低下は、皮肉にもROS量を増やすことが複数の研究で示唆されています。

ミトコンドリアの減少や機能低下による影響

加齢に伴い、ミトコンドリアは減少していきます。また、前述の通り、ミトコンドリアは酸化ストレスに晒されるリスクを常に負っています。数や機能の低下によりミトコンドリアが十分なATPを作り出せなくなると細胞の活動は低下します。ミトコンドリア機能低下の影響を最も受けやすいのは、大量のエネルギーを必要とする心筋細胞や神経細胞などです。「疲れやすい」「頭の回転が遅くなる」といった症状が現れたり、怪我や病気からの回復に時間がかかるようになります。さらに、筋力の低下、視力や聴力の低下、心臓・肝臓・腎臓などのトラブル、消化器系疾患、認知症を含む神経系トラブルを引き起こすこともあります。

また、近年の研究によって、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、双極性障害、統合失調症、慢性疲労症候群、糖尿病、自閉症なども、ミトコンドリアの機能障害と何らかの形で関与しているのでは？と考えられるようになり、現在、様々な研究が進められています。

ミトコンドリアの働きを上げる方法

健康維持・免疫力向上のためには、ミトコンドリアを増やしたり（分裂増殖）、最適化することが必須！でも、どうやって？　ミトコンドリアは意外にも「体育会系」。ちょっと厳しい状況に置かれると、俄然やる気を出して、活性化するのです。

♦ プチ断食でマイトファジーを働かせる

細胞内にある不要な物質を分解する仕組みをオートファジーといいますが、そのミトコンドリア版は「マイトファジー」と呼ばれます。マイトファジーが正常に起こらないと、パーキンソン病などの疾患が引き起こされることがわかっています。　

マイトファジーを生じさせるには「断食」という少し刺激的な方法が有効です。マイトファジーによって損傷ミトコンドリアや機能不全ミトコンドリアは除去される一方、丈夫なミトコンドリアは残されるので、ミトコンドリアの機能の質は保たれます。また、断食は体内のフリーラジカルの量を減らし免疫システム全体を再生するのにも役立ちます。

断食といっても、苦行僧のようになる必要は全くありません。１日の食事を８〜10時間以内に済ませるというプチ断食でOK！例えば１日３回食事を摂る場合、午前8時、正午、午後5時というタイミングで実践してみてはどうでしょうか。

♦ カロリー控えめに

カロリー制限すると、細胞がエネルギー不足を感じ取り、ミトコンドリアが増殖してATPをどんどん作り出すようになります。

♦ 少しきつめの運動　

少しきつめの運動をするとエネルギーが不足し、より多くのATPを作ろうとミトコンドリアが増殖します。特に、短距離走のような高強度かつ短時間の運動と短い休息を交互に繰り返す「高強度インターバルトレーニング（HIIT）」が効果的とされます。

12週間の高強度インターバルトレーニング（HIIT）実践によるミトコンドリア容量の変化を調べた研究において、18〜30歳の若年者グループでは49%増、65〜80歳までの高齢者グループではなんと69%増が確認されました。

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パーフェクトプロテインはミトコンドリアの活性をサポートすることで、エネルギーの向上、免疫力の向上、抗加齢、アレルギーや炎症の予防、生活習慣病の予防などパーフェクトな栄養素です。
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♦ 睡眠　

ラットを用いた研究では、脳細胞のATP レベルは睡眠中に急上昇することが確認されています。また、別の研究では、睡眠不足がミトコンドリアの機能低下をもたらし、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβ（脳が活動したときに生じる老廃物）のプラーク形成を促進することが示されました。これらの研究結果から、睡眠がミトコンドリアの機能や体のエネルギーに大きく関与していることが伺えます。

ミトコンドリアを活性化する成分

日頃から理想的な食事を心がけていても、食事から必要な栄養素を全て適量取り入れるのは簡単ではありません。サプリメントを上手に利用しながら、ミトコンドリアをサポートする栄養を摂取し、エネルギーアップに繋げましょう。ビタミンやミネラルと合わせて機能性成分がバランスよく配合されたマルチサプリメントもおすすめです。

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♦ ピロロキノリンキノン（PQQ）　

PQQ は、近年発見された新しい酸化還元系補酵素です。ある研究では、PQQを摂取することでミトコンドリア新生が促進されることが確認されています。また、ラットの単離肝ミトコンドリアを用いた別の研究では、PQQ には抗酸化作用があり、酸化ストレスからミトコンドリアを保護することが報告されています。

PQQ はココアに多く含まれるほか、ほうれん草、ピーマン、キウイフルーツ、豆腐、納豆、緑茶などにも少量含まれています。

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PQQは神経成長因子という脳細胞や神経の成長を促進する物質の製造と分泌を高めることで、脳の働きを活性化して記憶力や認知力を改善してくれる働きが分かっています。 PQQは脳細胞の活性化に加え、アルツハイマー病やパーキンソン病などの原因の一つである水銀など、脳細胞にとって非常に危険な重金属や様々な毒素から脳細胞を守る働きも確認されています。https://drsuppleusa.com/?pid=118581486

 

♦アルファリポ酸

α-リポ酸は補酵素としてミトコンドリアのATP生成を助けるとともに、その抗酸化特性により、ミトコンドリアを保護します。加齢に伴うミトコンドリア機能障害を軽減するとともに、酸化ストレスによる損傷の増加を抑制するとの研究報告があります。また、ラットを用いた別の研究でも、α-リポ酸の補給によって、ミトコンドリアDNA損傷の減少、ミトコンドリアの抗酸化活性の改善、細胞内のミトコンドリア数増加が確認されました。α-リポ酸はレバー、ほうれん草、ブロッコリー、トマトなどにも少量含まれています。ヒトの体内でも極微量が生成されますが、加齢とともに体内生成量は減少します。

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アルファリポ酸は水にも油のどちらにも溶ける性質を持つため、全身にいきわたる特別な抗酸化物質。老化の原因となる活性酸素から体を守りアンチエイジングに効果を発揮するサプリメントです。また、糖尿病の血糖値改善や糖尿病による神経痛をやわらげる効果も発揮します。
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♦ L-カルニチン

脂質（脂肪酸）は単独ではミトコンドリアの膜を通過することができません。そのため、脂肪酸はカルニチンと結合して、ミトコンドリア内に運び込まれます。つまり、カルニチンがなければ、ミトコンドリアは脂質からATPを作ることができないのです。

カルニチンは体内で合成されているほか、動物性食品、特に赤身の肉に豊富に含まれています。そのため、ベジタリアンの人が食事から摂取できるカルチニンは少量です。

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♦ コエンザイムQ10 (Co-Q10)

コエンザイムQ10 はミトコンドリアがATPを作り出すために必要な補酵素のひとつです。また、ATP生成の過程で活性酸素を生み出すミトコンドリアは酸化ストレスに晒されやすく、損傷や変異するリスクと隣り合わせです。そのため、強力な抗酸化作用を有するコエンザイムQ10 には活性酸素を無毒化する役割もあります。コエンザイムQ1０を多く含む食品には、肉類や青魚、ナッツ類などがあります。

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≪併せて読みたい≫

D-リボースとミトコンドリア

コエンザイムQ10 は体内発電所ミトコンドリアに必須な栄養素です。

Reference: https://doi.org/10.1371/journal.pbio.1002533 Neuron . 2017 Nov 1;96(3):651-666. doi: 10.1016/j.neuron.2017.09.055. Antioxid Redox Signal . 2014 Apr 1;20(10):1599-617. doi: 10.1089/ars.2013.5305. Epub 2013 Jun 8. J Cachexia Sarcopenia Muscle . 2017 Jun;8(3):349-369. doi: 10.1002/jcsm.12178. Epub 2017 Apr 21. Ann Transl Med . 2018 Jun;6(12):256. doi: 10.21037/atm.2018.06.21. Cells . 2019 Jul 12;8(7):712. doi: 10.3390/cells8070712. https://doi.org/10.1155/2014/238463 Nucleic Acids Res . 2009 May;37(8):2539-48. doi: 10.1093/nar/gkp100. Epub 2009 Mar 5. J Gerontol A Biol Sci Med Sci . 2006 Jun;61(6):534-40. doi: 10.1093/gerona/61.6.534. https://doi.org/10.1016/j.cmet.2017.02.009 Science . 2013 Oct 18;342(6156):373-7. doi: 10.1126/science.1241224. Neuroreport . 2016 Aug 17;27(12):916-22. doi: 10.1097/WNR.0000000000000631. J Neurosci . 2010 Jun 30;30(26):9007-16. doi: 10.1523/JNEUROSCI.1423-10.2010. Commun Biol . 2021 Feb 12;4(1):192. doi: 10.1038/s42003-021-01720-2. J Biol Chem . 2010 Jan 1;285(1):142-52. doi: 10.1074/jbc.M109.030130. Epub 2009 Oct 27. Biochem Pharmacol . 2003 Jan 1;65(1):67-74. doi: 10.1016/s0006-2952(02)01453-3. Neurochem Res . 2008 Jan;33(1):194-203. doi: 10.1007/s11064-007-9403-0. Epub 2007 Jun 29. Obesity (Silver Spring) . 2012 Oct;20(10):1974-83. doi: 10.1038/oby.2012.32. Epub 2012 Feb 13. J Pharm Bioallied Sci . 2011 Jul;3(3):466-7. doi: 10.4103/0975-7406.84471. J Pharm Bioallied Sci . 2011 Jul;3(3):466-7. doi: 10.4103/0975-7406.84471.