【冷え】を解消して万病予防～原因と対策をご紹介

エアコンなどの普及による現代のライフスタイルの変化は、人間の体温調整機能にも少なからず影響を与えているようです。そのため、季節を問わず常に手足の冷えに悩む人が増加しており、冷えがもたらす倦怠感や肩こり、便秘、浮腫みなど様々な不調を訴える人が増えています。

一般的に、筋肉量が少なく基礎代謝が低い、ホルモンバランスが乱れやすいといった理由から、女性の方が男性より冷えを感じやすいと言われており、実際に約８割近くの女性が冷えを感じているというリサーチ結果も出ています。また近年、冷えに悩む男性も増加傾向にあるようで、デスクワーク中心の職場環境なども原因の一つだと考えられています。

冷えの原因

♦　自律神経の乱れ　
気温の変化、ストレス、ホルモンバランスの乱れなど。

♦　血管の老化　
加齢や喫煙、運動不足や栄養不足などの生活習慣の乱れが原因。
また、次のような疾患が原因となっている場合もあります。

♦　貧血　　　
鉄分の不足による赤血球の減少で、抹消血管まで酸素が行き渡らなくなり、正常な体温が保てなくなるため。

♦　糖尿病　　　
血糖による動脈硬化が’進むと、血管壁内が狭くなり血流障害が起こるため。

♦　甲状腺機能低下症　
甲状腺ホルモン不足による身体機能の低下が起きるため。
『甲状腺ホルモン』は、新陳代謝を促進し、体温調節など身体機能の維持に重要な役割を持つホルモンです。甲状腺機能低下症は、特に女性に多く見られる疾患で、冷えに悩む女性の中には、実はこの病気が隠れていたというケースも多く見られるため、甲状腺の健康状態は、特に女性にとっては要チェックポイントだと言えるでしょう。

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冷えの改善と予防に効果的な栄養素

♦　たんぱく質　
筋肉産生に必要不可欠な成分です。肉類、卵、チーズ、大豆などに多くまれています。

♦　ビタミンB群　   
代謝を促進しエネルギー産生の手助けをします。中でもビタミンB３＜ナイアシンアミド＞は、ニコチン酸アミドとも呼ばれ、血管拡張作用による血流改善の働きがあります。肉類、魚介類、きのこ類、穀類などに多く含まれています。

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♦　ビタミンC           
鉄の吸収を促進し、毛細血管の働きを助けます。ブロッコリー、カリフラワー、パプリカ、じゃがいも、サツマイモなどに多く含まれています。

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♦　鉄　
酸素を全身に供給する赤血球を作ります。赤身肉、まぐろ、さば、いわし、ほうれん草、ケールなどに多く含まれています。

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♦　ヘスペリジン　
ビタミンPとも呼ばれる柑橘類などの皮に多く含まれるポリフェノールの一種で、血流促進作用で知られています。

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♦　ギンコビローバ　

『ギンコライド』と呼ばれるイチョウ特有の物質が、血流改善に作用します。

冷えの改善と予防のための生活習慣

♦　食事　
喫煙やアルコールを控え、十分なたんぱく質やビタミンを含むバランスの良い食事を心がけましょう。冷えを改善する効果で知られる＜ジンジャー＞や＜シナモン＞といったハーブをブレンドしたハーブティーなどを常備しておくのも良いでしょう。

♦　運動　
新陳代謝を上げる運動（ヨガ、ストレッチ、ウォーキング、筋トレなど）を積極的に取り入れましょう。

♦　入浴　

湯温40度前後で、10分〜15分程度の全身浴が良いと言われています。副交感神経が働き、血管が拡張し血行が良くなります。

♦　衣服　
薄着や締め付けのきつい服は避け、重ね着などで上手に体温調節をしましょう。　

冷えは病気だと言われる一方で体質だという認識もあり、ともすると軽視されがちなのですが、安易に自己判断してしまうのは危険です。病気が疑われる場合は、まず受診してきちんと原因を把握し、速やかに治療を行うことが重要です。昔から＜冷えは万病のもと＞と言われているようにあらゆる身体の不調と関連しています。一次的な対処ではなく、根本からしっかりと対処することは体質改善にも繋がり、病気を未然に防ぐためにも大きな意味があることを常に意識しておくことが大切です。

Reference: Arzneimittelforschung. 1990 May;40(5):589-93. Oxid Med Cell Longev. 2019 Mar 10;2019:5484138. doi: 10.1155/2019/5484138. eCollection 2019.