【熱中症を防ぐ】初期症状を見逃さないための予備知識と対策。

今年の夏も暑さが厳しく感じられますね。皆さんが安心して夏を過ごせるよう、特に高齢者の方や、肥満、高血圧、心臓病や脳卒中の経験がある方に向けて、暑さの影響について少し語らせていただきたいと思います。これらの方々、そして実際には私たち全員にとって、猛暑は心臓に負担をかける可能性があるのです。この夏、熱中症対策のため、いくつかの注意事項を再確認してください。

暑さは体温調整に大きな影響を与えます。特に気温が36度を超えるような厳しい暑さの場合はもちろん、気温が27度程度とそれほど高くない場合でも、湿度が高いと心臓はより強く働き、体温を下げようと試みます。そのためには、血液を体の中心から皮膚の方へと送り出す必要があります。その結果、心臓はより多くの血液を送り出すことになり、負担が大きくなるのです。これが、水分補給が欠かせない理由の一つです。

医学雑誌Circulationに発表された研究では、極度の暑さが心臓にどれほど影響を与えるかが明らかにされています。例えば、平均気温が40度に達すると、心血管系疾患による死亡者数は驚くべきことに2倍から3倍にもなる可能性があるとのことです。

厚生労働省の報告によると、過去5年間で毎年1000人以上が熱中症によって亡くなっています。特に心臓病や脳卒中の既往歴がある方、50歳以上の方、肥満体の方は、暑さに注意する必要があります。そして、ある種の薬を服用している方も、猛暑の影響を受けやすいです。薬の中には体の熱を調節する機能を変えてしまい、暑さで体調を崩しやすくします。ただし、自己判断で薬の服用をやめることはせず、医師に相談しましょう。特に、アンジオテンシン受容体拮抗薬（ARB）、アンジオテンシン変換酵素（ACE）阻害薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬などを服用している方は、医師と相談しながら適切な熱中症対策を計画してください。

しかし、悪いニュースばかりを気にしていても仕方がありません。適切な予防策を講じることで、暑さによる疾患や死亡は防ぐことが可能です。暑さに注意することは、特に高齢者や乳幼児などはもちろんですが、健康な方にとっても大切なことです。そして、水分補給は熱中症予防の最重要項目です。のどが渇いていると思っていなくても、脱水症状になりやすいこともあります。暑い日の外出前、外出中、外出後に水を飲むこと。喉が渇いたと感じるまで待ってはいけません。そして、水分が足りているかどうかを知る最善の方法は、尿を確認することです。尿の回数、量がともに少なくなく、尿の色が濃くないことを確認してください。

熱中症対策。気温が高い時に気をつけるべきこと。

• 日差しが最も強い時間帯の外出は避ける。
• 通気性の良い生地で作られた、軽くて薄い色の服を着る。
• 帽子とサングラスの着用
• SPF15以上の日焼け止めを塗り、必要に応じて塗り直す。
• 外出前、外出中、外出後の水分補給。
• カフェイン入りの飲み物やアルコール飲料は避ける。
• 日陰や涼しい場所で定期的に休憩をとり、水分補給と休息をとってから運動を続ける。
• 医師の指示に従い、薬の推奨事項を継続する。

熱中症対策に有効な食べ物の例

• 水分を多く含むフルーツ：スイカ、オレンジ、キウイ、メロンなどは高い水分含有量を持っています。これらは美味しく水分を摂取する手段として役立ちます。
• 野菜：きゅうり、トマト、セロリなどの水分を多く含む野菜も良い選択です。
• イオン飲料：ココナツウォーターは、ただ水分を摂取するだけでなく、必要な電解質（カリウムやナトリウム、マグネシウムなど）も補給できるのでおすすめです。急に手に入らない場合には、スポーツドリンクなどで水分と電解質を補給しましょう。
• 味噌汁：塩分を適度に含んでいます。暑い季節には汗と共に失われる塩分を補うために、役立ちます。
• バナナ：バナナに含まれるカリウムは体内の水分バランスを維持するのに役立ちます。暑い日は汗をたくさんかくため、体内から電解質が失われます。そのため、バナナを食べてカリウムを補給することは、熱中症予防にも繋がります。でも、バナナだけに頼るのではなく、しっかりと水分補給を行い、他の電解質（特にナトリウム）の補給も忘れないようにしてください。

熱中症：初期の症状や兆候 

• 大量の発汗
• 冷たく湿った皮膚、悪寒
• 速く浅い呼吸
• 筋肉のけいれん
• 吐き気や嘔吐
• 頭痛
• めまいや失神
• 脈が弱く速い

このような症状が出た場合は、涼しい場所に移動し、現在していることを中断して、すぐに体を冷やし、場合によっては水をかけて水分を補給してください。医師の診察が必要な場合もあります。

熱中症：深刻な症状

• 高熱
• 吐き気や嘔吐
• 錯乱や意識障害
• 強く速い脈拍
• 発汗のない、暖かく乾燥した皮膚
• ズキズキする頭痛

夏休みは楽しい体験や冒険が待っています。暑さに負けず、家族や友達とアウトドアで楽しむためにも、しっかりと水分補給を行いましょう。食事の合間にも、冷やしたフルーツやフルーツジュースで作った自家製のアイスキャンディー、フルーツスムージーなどを食べると、さらに体の冷却と水分補給ができます。この夏は楽しみつつ、しっかりと体調管理をして、健康的な夏休みを過ごしましょう！

<参照＞ https://newsroom.heart.org/news/extreme-heat-warning-keep-cool-to-be-heart-healthy-when-temperatures-rise,  https://newsroom.heart.org/news/extreme-high-temperatures-may-double-or-triple-heart-related-deaths,    https://www.heart.org/en/news/2020/02/19/swings-in-daily-temperature-may-affect-stroke-severity,  https://www.emedevents.com/c/medical-conferences-2019/international-stroke-conference-2019,    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8968453/