【ベタイン(Betaine)】　～地味ながらもかなりパワフルな成分～

ベタインってご存知ですか？ベタインは、“天然アミノ酸系保湿成分”としてスキンケアやヘアケア製品の原材料に含まれたり、“筋力アップ”を目的としたスポーツサプリメントとしてマッチョな方々の注目を集めている成分です。でも、美容や筋トレという華やかなフィールドだけではありません。ベタインは認知度の低い地味な存在ながらも、私たちの健康の改善や維持を促す生理機能に大きく関与しています。

ベタインとは？

ベタインは天然に存在するアミノ酸誘導体で、トリメチルグリシン(TMG)とも呼ばれます。トリメチルグリシンという名が示すように、グリシンというアミノ酸にメチル基（CH3） が3つ付いた構造を持っています。この成分は、19世紀に初めてビーツ（甜菜/サトウダイコン）から分離され、続いていくつかの有機物からも見つかりました。なお、ベタインという名称はビーツの学名Beta vulgaris に由来しています。現在では動物性・植物性を問わず多くの食物に含まれていることがわかっています。また、ベタインは生体内にも存在し、コリンという栄養素の代謝により生成されます。

ベタインの健康効果

♦ 動脈硬化の予防

たんぱく質の代謝時に産出されるホモシステインという物質は常に血液中に存在しています。ところが、食習慣や体質により、血中のホモシステイン量が過剰になることがあります。過剰なホモシステインは血栓形成、血管狭窄、動脈硬化などを引き起こす原因となります。一方、ベタインは体内で「メチル基供与体」という役割を担っています。ベタインはホモシステインにメチル基を供与し、ホモシステインをメチオニンというアミノ酸に変換することで、血中ホモシステイン量を下げるのです。このベタインのホモシステイン低減作用は、心臓血管系の健康維持はもちろんのこと、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを減らす効果をもたらします。

なお、FDA（アメリカ食品医薬品局）による許可の下、ベタインのサプリメントは、高ホモシステイン血症の治療にも使われています。

■メチレーションサポート　ベタイン配合
メチレーション　サポート」には高用量のメチル葉酸塩、ビタミンB12、ビタミンB6、ベタインがひとつのカプセルに含まれています。ホモシステインを低減させる化学反応全てに働きかけて心臓病、脳血栓を予防するサプリメントです。https://drsuppleusa.com/?pid=60360769

♦ 肝機能の強化と解毒作用
肥満、糖尿病、脂質や糖分の過剰摂取、あるいはアルコールの多飲により、肝臓に中性脂肪がたまる「脂肪肝」の状態になると、肝機能障害を起こしてしまいます。ベタインには、肝臓内の脂肪の分解と排出を促す作用があるので、脂肪肝を予防する効果があります。また、ベタインは肝臓の解毒作用を助けるだけでなく、体内に入り込んだ肝毒性物質から肝臓を守る作用があります。

♦ マッチョな体づくりに
ベタインを摂取することにより、筋肉量、筋力、筋持久力がアップすることが複数の研究で示されています。そしてさらなる朗報は、筋肉細胞や筋肉量を維持したまま、脂肪を燃焼し、脂肪量を落としてくれるのです。

♦ 血行改善

ベタインの摂取により、血液中の一酸化窒素(NO)が増加します。一酸化窒素には血管拡張、血行改善、そして血管をしなやかにする作用があります。血行が良くなると、基礎代謝や運動能力のアップにもつながり、疲労回復にも効果があります。

♦ 消化の助けに
胃酸の分泌不足、あるいは胃酸濃度が低いと、胃に入った食べ物が適切に分解されません。すると、どのようなことが起こるでしょうか？未消化物の栄養は適切に吸収されないため栄養不足となるだけでなく、腸内微生物叢（腸フローラ）のバランスは崩れ、免疫力は低下し、さらにはアレルギーや体調不良を招くことになります。ベタインと塩酸の化合物である塩酸ベタイン(ベタインHCI) は胃液の分泌を促し、胃液の酸性度を上げ、胃の食物消化をサポートします。

♦ 美肌・美髪効果

ベタインは「オスモライト」と呼ばれる特性を有しています。オスモライトとは、細胞内の水分が出入りするのを調整し、細胞の保水バランスを整える機能です。お肌や髪の潤いを保ち、また刺激や乾燥からお肌や髪を守ります。

摂取量と摂取方法

成人の1日あたりのベタイン推奨摂取量というものは定められていません。現時点では、摂取量は個人の症状や目的次第ということのようです。以下は、成人の摂取目安量の例です。

• 一般の方は、1日あたり650〜2,000mg の摂取を心がけるとよいでしょう。
• アルコール性脂肪肝を罹患している場合：1,000〜2,000mg を1日3回。通常の摂取量よりはるかに多い量ですが、アルコール多飲による肝臓ダメージの回復にはこの程度の量が必要です。
• 身体づくり（筋肉量アップ）や運動パフォーマンス向上を目的とする場合：1日あたり1,000〜2,000mg。
• 胃酸補助としての塩酸ベタイン(ベタインHCI)を服用する場合：1日あたり650〜2,500mg

ベタインは、ビーツ、玄米、小麦、ライ麦、ほうれん草、さつまいも、ターキー（胸肉）、牛肉、エビを始め、様々な食品に含まれている成分なので、通常の食事からでも摂ることができます。また、サプリメントで補うことも可能です。

ベタインを特に多く含む食品トップ５

1. 小麦ふすま（未調理1/4カップ）：200mg
2. キヌア（加熱済1カップまたは未調理1/4 カップ）：178mg
3. ビーツ（生1カップ）：175mg
4. ほうれん草（加熱済1カップ）：160mg
5. アマランサス（加熱済1カップまたは未調理1/2 カップ）：130mg

注意点

ベタインのサプリメントは総コレステロール値を上げる可能性があります。また、肝臓や心臓血管系をはじめ、身体に強力に作用する成分ですので、持病や健康問題をお持ちの方は、サプリメントを服用する前に必ず主治医にご相談ください。

健康な方の場合、サプリメントは適切に使用すれば安全と考えられますが、下痢、消化管障害、吐き気を生じたという報告もあります。

妊娠中や授乳中の安全性については十分なデータがないので、サプリメントの使用は避けてください。また、小児・乳幼児についても、治療目的とした主治医からの明確な指示がない限り、サプリメント服用用は行わないでください。

胃酸促進を目的として塩酸ベタイン(ベタインHCI) を摂取する場合、摂取量や方法を誤ると逆に胃酸過多のリスクにつながります。胃酸の分泌量や酸性度は個人によって異なりますので、事前に主治医に相談の上、自分の症状に合った量や方法で服用してください。

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