疲れやすい方におすすめのビタミンB1（チアミン）

チアミン(ビタミンB1)の働き。

ビタミンB1は、体内に入ってきた炭水化物や脂肪からエネルギーを効率よく変換するのに必要な栄養素の一つです。このエネルギーの生産に必要な生化学反応をクエン酸回路と呼びます。クエン酸回路と言うのは人間だけでなく、酸素呼吸を行う全ての生物に見られる生体化学反応のひとつであり、生命の基本でとても重要な反応です。ビタミンB1は、この重要なクエン酸回路上で2つの反応に必要な酵素の働きを助けます。ビタミンB1が欠乏するとエネルギーの生産は行われません。

またビタミンB1は、糖からDNAやRNAの原料になる核酸や、エネルギー源のATPの原料であるリボースを作り出すペントースリン酸経路と呼ばれる生化学反応にも使用されます。

この他にも、チアミンは脳や神経の働きに使用されますが、はっきりとした役割は分かっていません。

チアミン(ビタミンB1)を含む食品

ビタミンB1の摂取適量は、1.2mg、妊娠中は1.4mg、授乳中は1.5mgとなっています。子供や活動量の多い方はエネルギーの消費が多くなりますので、ビタミンB1の摂取量を増やす必要があります。

チアミンを多く含む食品には、豚肉、穀類、豆類、ナッツ類、オレンジ、牛乳、ほうれん草、酵母などがあります。ただし、ビタミンB1は水溶性のビタミンの為、調理により大部分が損失してしまいます。特に穀類（米、麺など）を主食として多く食べる方はお米を研ぐ時や麺を茹でる時に大半が損失します。ですからお米を研ぐ時はあまり丁寧に行わないでください。もしくは玄米ですとビタミンB1の損失が大きく防げます。調理でビタミンB1が損失するのを防ぐ目的で、アメリカではお米、パスタ、シリアルにビタミンB1を添加した商品が主流となっています。

チアミン(ビタミンB1)欠乏症

ビタミンB1が欠乏したときに見られる症状が脚気です。脚気の症状には食欲不振、それに伴う体重の減少、心臓の肥大、神経障害（かゆみや燃える様な感覚）、筋力の低下、疲労感、手足の脱力などがあります。脚気は症状により5つのカテゴリーに分類されますが、ここでは割愛させていただきます。

脚気の他、ビタミンB1の欠乏によって引起される症状に、ウェルニッケ－コルサコフ症候群があります。この症状は、殆どがアルコール依存症の方に発症します。記憶障害、混乱、眼球運動障害、精神病、作話などの症状が現れます。

ビタミンB1の欠乏症は1950年以前に多く見られていましたが、その後殆ど見られなくなりました。しかし、最近になってインスタント食品、偏食やアルコール依存症などにより再び増加しています。

チアミン(ビタミンB1)が不足する原因

１．ビタミンB1の摂取不足。炭水化物を多く食べる方やアルコール依存症の方は、炭水化物やアルコールの分解の為にチアミンの要求量が増えます。それだけでなく白米、パスタ、うどんなどは調理段階での損失が多くなります。アルコール依存症の方は、食事を殆ど摂らないので多くの栄養素が不足しています。

２．ビタミンB1の必要量の増加。運動量の多い方、発熱、妊娠、授乳期間中、成長期にはチアミンの必要量が増します。またマラリア感染、HIV感染者（エイズ発症に関係なく）はチアミン欠乏症のリスクが高まります。

３．ビタミンB1の損失増加。腎不全の為、透析を受けている方は、チアミンが不足する傾向にあります。また利尿剤やアルコールの摂取が多い方は、尿の量が増加すると共にチアミンの損失も増加します。

４．抗チアミン因子。コーヒーやお茶に含まれるタンニンやカフェー酸はチアミンを欠乏させることが知られています。また生の淡水魚、生の貝、ワラビに含まれるチアミナーゼという酵素がチアミンを破壊してしまいます。これらの食品を日常的に多く食べる方は注意が必要です。

チアミン(ビタミンB1)の過剰摂取

ビタミンB1は非常に安全なビタミンで、サプリメントから大量にとっても一切毒性が報告されていません。

チアミン(ビタミンB1)の有効性が認められた治療

脚気、アルコール依存症、神経障害（坐骨神経痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛)、記憶障害、精神障害、鬱血心不全などです。特に鬱血心不全で、長期にわたり利尿剤を処方している場合にはサプリメントが非常に有効な治療法となります。

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