メラトニンは不眠に効果を発揮しますが、睡眠以外にも免疫力増強など効果があることを知っていますか？

メラトニンは長年、睡眠を助けるホルモンとして知られてきましたが、最近ではメラトニンの睡眠以外への働きについても研究されてきています。

メラトニンの種類

メラトニンはアメリカではサプリメントとして販売されていますが、日本では薬の扱いにされています。メラトニンの原料はさまざまで、合成されたもの、動物の脳から抽出されたもの、植物から抽出発酵されたものなどさまざまです。

またメラトニンには即溶性と持続放出型の２種類があります。持続放出型のメラトニンの方が即溶性のメラトニンよりも次の日の朝に眠気が残り難く、不眠への効果はどちらも同等もしくは持続放出型のほうがやや高いのが特徴です。

 

メラトニンの体内合成

メラトニンは、人間の体内では松果体という脳の一部で合成されています。

メラトニンは暗闇に反応して作られます。目の網膜に当たる光の量によりメラトニンの製造は変わります。これは太陽の光だけでなく、電球やテレビ、パソコンなどの光にも影響を受けます。

１０代の頃までは、一日あたり約０.５mg－０.８mgのメラトニンが松果体で作られています。その後は一日あたり０.３mgのメラトニンが作られます。

あまり知られていませんが、実はメラトニンは胃腸でも製造され、脳で製造されるよりもはるかに大量のメラトニンが胃腸で作られています。メラトニンは胃腸では蠕動運動、弁の働きを正常に行うのに重要な働きがあります。

メラトニンの生産を減少させてしまう原因

メラトニンの製造は食生活の乱れ、不規則な生活、加齢（特に５０歳以上）などにより減少します。海外出張の多い方、シフトで働く方などはメラトニンの製造が減少する傾向にあります。

シフトで働く方、特に夜勤が多い方はガン、胃腸疾患、循環器病、妊娠障害にかかる確率が高いという研究結果がでています。多くの研究結果や学識者による意見、ガイドラインによると、シフトで働く方や夜勤の方の睡眠障害の改善の為だけでなく、健康状態の向上のためにメラトニンの摂取が勧めらています。

メラトニンの生産を下げる疾患：前立腺がん、乳がん、自閉症、てんかん

メラトニンの生産を下げる薬：抗鬱剤、抗炎症剤、ベータブロッカー（高血圧薬）、カルシウムチャンネルブロッカー（高血圧）、カフェイン、タバコ、アルコール

睡眠以外のメラトニンの働き

メラトニンは睡眠を助ける以外にも活性酸素などのフリーラジカルを減少させる抗酸化物質としても働きます。

メラトニンが特別なのは、食品から入ってきたビタミンCなどの抗酸化物質は脳の関所、血液脳関門を通過することができないのですが、メラトニンはこの関所を通過して脳細胞を活性酸素から守ります。

この効果により、メラトニンは脳の萎縮や認知症、アルツハイマー病の予防に効果があるという研究があります。

メラトニンの摂取量

メラトニンの摂取量については議論の的になっています。

少量のメラトニンが高用量のメラトニンよりも効果があることがあります。これはホルモン全般に言えることですが、生理的に必要な量は一定で、少なくても多過ぎても効果が出ず、適量が一番効果を出すからです。

また過剰のメラトニンは次の日にだるさや倦怠感をもたらすことがあります。このだるさや倦怠感はメラトニンを摂取し続けると次第に減少していきますので、高用量のメラトニンを摂取したい方は、徐々に摂取量を増やしていってください。

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メラトニンは眠りを誘うと同時に体温を下げて寝付きやすくさせてくれます。もし体が冷え過ぎるるというようなことがある場合は、メラトニンが過剰なサインですので覚えていてください。やや体温が低下して寝付きやすいというレベルが個人にあったメラトニンの処方量になります。

メラトニンは体内で急速に分解されていくので処方量には個人差が出ます。また急速に分解されることから不眠のためにはメラトニンを毎晩一定の量をとる必要があります。

睡眠薬や精神薬でGABAというアミノ酸に働きかけるベンゾダイアゼピン系の薬はメラトニンを枯渇させてしまいます。長期間これらの薬を使用して、自然に眠れなくなってしまった方はメラトニンを試してみてください。

また、メラトニンを用いたガンへの研究では２０mgという高用量のメラトニンが使用され、抗がん作用としての効果が認められました。

メラトニンに関しての研究結果

注意欠陥障害

最新の遺伝子の研究によると注意欠陥障害の患者と通常の健常者ではメラトニンの代謝に違いがあることが分かりました。

関節炎、怪我の予防

アスリートへの酸化ストレスマーカーの研究によると、メラトニンを摂ったグループのストレスマーカーはメラトニンを摂らなかったグループに比べると酸化ストレスマーカーが低く、炎症や怪我の発生が低かった。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームの患者を対象に、３ヶ月間に及ぶ生活スタイルや食生活の改善だけでコレステロールと血圧に改善の見られなかったグループにメラトニンを摂取させた結果、２ヶ月で悪玉コレステロールと血圧に改善が見られました。

黄斑変性症

加齢による黄斑変性症へのメラトニンの投与により予防、進行状況を軽減。

認知症

認知症へのメラトニンへの効果についての研究によると、認識力、記憶力の向上、睡眠時間の改善が確認されました。

アルツハイマー病

メラトニンはアルツハイマー病の原因となるベータアミロイドの凝集を防ぎ、アルツハイマーの予防と認識力の向上に改善が認められました。

自閉症

自閉症の患者には遺伝子の働きによりメラトニンのレベルが低いことが認められ、メラトニンを投与した結果、睡眠や日中の行動に改善が見られました。

神経障害

神経変性障害はミトコンドリアの機能障害が病因と考えられています。ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを製造する働きがあり、活性酸素によりダメージを受けやすいことが知られています。メラトニンはこのミトコンドリアに選択的に吸収され、ミトコンドリアを活性酸素から保護する働きが確認されました。この働きは他の抗酸化物質には確認されていません。

免疫力

メラトニンは免疫力を上げて、抗がん作用を持っています。高濃度のメラトニンは転移性のがん細胞の増殖をとめ、がん患者のクオリティーオブライフの向上が確認されました。

胃酸逆流症

メラトニンは食道と胃の間にある弁の機能を改善させ、胃酸逆流症を改善するのに効果が認められました。

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