エストロゲン過多・プロゲステロン不足

女性の体では常に二つのホルモンがバランスを取り合っています。その二つとはエストロゲン（卵胞ホルモン）とプロゲステロン（黄体ホルモン）です。両方とも女性らしさに多大な影響を与えるホルモンですが、簡単に言うとエストロゲンは加速、プロゲステロンは安定と維持という働きをしています。この二つホルモンのバランスが乱れることが原因で様々な症状を引き起こしてしまいます。

エストロゲンとは

エストロゲンは卵巣の一部、卵胞から分泌されます。エストロゲンは生理が始まって7日目ごろから徐々に分泌量が増えます。そして12－13日目にピークを迎えます。そして排卵が起こります。エストロゲンの主な働きは、子宮内膜を増殖して妊娠に備える、乳腺の発達など女性特有の発育に必要不可欠なホルモンです。その他にも、代謝を高める、記憶力や集中力を高める、骨密度をあげる、善玉コレステロールを上げる、コラーゲンとヒアルロン酸の生産を高めて肌につやと潤いを保つなどなど、400以上もの働きが確認されています。

プロゲステロンとは

プロゲステロンは卵巣の一部、黄体から分泌されます。プロゲステロンは生理が始まって１４日目（排卵日）ごろから徐々に分泌量が増えます。そして21日目にピークを迎えます。プロゲステロンの主な働きは、子宮の内膜を整えて妊娠に備える、子宮がんや乳がんの予防、妊娠を安定させて流産を予防するなどの重要な働きがあります。他にも頭髪の育毛、インスリン抵抗性改善、性欲の改善、骨粗そしょう症の予防、睡眠の質を高めるなどの働きがあります。

エストロゲン・プロゲステロンバランス異常の症状

最も多いホルモンバランスの異常はエストロゲンが過剰になり、プロゲステロンが不足してしまうことです。先ほども述べたように、エストロゲンは加速でプロゲステロンは安定と維持ですので、エストロゲンが過剰でプロゲステロンが不足しているという状況は例えると、高速道路を走っている車が不安定でフラフラしているということです。これがもっとひどい状況になるとエストロゲンの暴走運転状態になります。

エストロゲン過多・プロゲステロン不足によって引き起こされる症状は以下のものが挙げられます。

• 不安症・イライラ・気分の浮き沈み・不眠
• 頭痛・痛み・腫れの悪化
• 月経不順・不正出血・生理痛
• 不妊
• 胸の張り（過敏）
• 性欲の減退
• 体重の増加・むくみ
• ニキビ
• PMS（月経前症候群）です。

また、エストロゲン過多・プロゲステロン不足が長期にわたって改善されないと子宮内膜増殖症、子宮内膜症、子宮がん、乳がんの原因の一つになりえます。

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エストロゲン過多・プロゲステロン不足の原因

エストロゲンとプロゲステロンのバランスが乱れるのは、環境ホルモン、食生活の乱れ、ストレス、体内毒素、運動不足、加齢などの原因が挙げられます。

♦　環境ホルモン

プラスチックに含まれるBPA、環境汚染物質のダイオキシン、防腐剤のパラベンなどはエストロゲンに似た作用を引き起こすことでホルモンバランスを乱します。

♦　食生活の乱れ
ホルモンを過剰に投与されて育てられた牛、豚、鶏肉、またホルモンを過剰に投与された乳牛からとれた乳製品を食べすぎること。欧米型の食生活はエストロゲンが過多になりやすいです。

♦　ストレス

ストレスが多くなると、コルチゾールの分泌が高まります。コルチゾールはプロゲステロンの受容体をブロックしていまいます。プロゲステロンの働きがブロックされることで、エストロゲンが過多の状態にしていまいます。

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♦　体内毒素の充満
過剰なエストロゲンは肝臓で処理され体外に排出されますが、体内に毒素（薬、薬物、アルコール、化学物質）が充満して肝臓の解毒機能が精一杯の状態ではエストロゲンの排出が十分に行えません。

♦　運動不足
エストロゲンは通常卵巣で作られていますが、実は脂肪細胞もエストロゲンの分泌をします。運動不足はエストロゲンを過剰な状態にしていまいます。

♦　加齢

プロゲステロンの分泌は35歳前後を境に徐々に減少していきます。そして55歳では35歳と比較するとプロゲステロンの分泌は75％も減少します。そして更年期の初期段階ではエストロゲンと比較するとプロゲステロンが大幅に減少していきます。

診断方法

プロゲステロン・エストロゲンのバランスを診断する方法には血液検査が一般的ですが、100％正確な検査ではありませんので、ご自分の症状及び基礎体温をベースにして血液検査の結果は補助的としてとらえてください。

基礎体温

プロゲステロンの分泌が高まると、体温が高まります。まず朝起きて直ぐ、ベッドから出ないうちに体温を測定してください。排卵が起きてプロゲステロンの分泌が高まると、以前よりも約0.3度程度体温が上昇します。そしてこの排卵日より数えて次の生理開始までの日数が11日以下ですと、プロゲステロンの分泌が低下していると言えます。

血液検査

プロゲステロンを血液検査で測るときには、排卵日より7－10日経った頃（生理が始まってから21－23日頃）に測定します。この時期は、プロゲステロンの値がピークになる時期の数値です。この時期に数値が３ng/mL以下ですとプロゲステロンが低下していると言えます。また、この時期のプロゲステロンとエストロゲンの比率（P/E）は200以上が望ましいです。血液検査の問題点としてはエストロゲン、プロゲステロンともに1か月を通して分泌量の幅が大きいことから、100％正確な検査とは言えません。

治療法

エストロゲン過多・プロゲステロン不足の改善には、まず食事の見直し、適正体重の維持、運動不足の解消を行っていただき、健康の基礎を築いたうえで以下に紹介するハーブやプロゲステロンクリームを使用してみてください。

食事と運動

環境ホルモンの影響を最低限にするには、ホルモン剤を使用している肉、乳製品、加工食品はできるだけ避けて、魚を多めに食べるようにしてください。またプラスチックで梱包された食品や加工食品はできるだけ避けたほうが良いです。

食物繊維の豊富な野菜や果物は便通を促すだけでなく解毒排出機能を助け、エストロゲン過多を正常に導いてくれます。特にキャベツやブロッコリーに含まれるインドール3カルビノールと呼ばれる成分にはエストロゲン過多を改善する働きがあります。

アルコールや砂糖の取り過ぎは肝臓の解毒が悪化し、エストロゲンの代謝が低下しますので、できる限り控えるようにしてください。

適正な体重を維持して代謝を高めるには運動は欠かせません。毎日45－60分程度の運動を心がけてください。

デトックス

ホルモンバランスの改善にはデトックスは欠かせません。肝機能、腸内環境が整っていない状態ですとホルモンバランスは悪化する傾向にあります。年に1回のデトックスがお勧めです。

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デトックスについての詳しい説明は過去ブログを参考にしてください。

≪併せて読みたいデトックスについての過去ブログ≫

• 【疲れの原因は毒素・老廃物の蓄積かも？！デトックスして疲労感知らずの健康体になろう】　
• 【デトックス】解毒の鍵を握るのは胃腸！弱った胃腸の機能を修復するには？

ビタミンB6、マグネシウム、DIM、インドール3カルビノール

これらの栄養素にはエストロゲンの代謝を高めて余分なエストロゲン過多状態を改善する効果があります。ビタミンB6は300－600mgを1日3回に分けて取るようにしてください。マグネシウムは300mgを1日1－2回摂ってください。DIMもしくはインドール3カルビノールは1日当たり300－400mgを目安に摂るようにしてください。

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チェストベリー

チェストベリーは地中海から中央アジアを原産とするハーブでギリシャ・ローマ時代から利用されてきたハーブです。その薬効はエストロゲンを減少させプロゲステロンを増加させる効果があります。摂取のタイミングは排卵日（生理開始後14日前後）から生理が始まるまで摂ってください。摂取の目安はお茶でしたら1カップ当たり3グラム、チンキ3ml、標準抽出カプセル25-50mgを朝摂ると効果的です。

≪併せて読みたい≫
チェストツリー【Chaste tree】～昔から女性の味方だったハーブ～

プロゲステロンクリーム

プロゲステロンを直接取る、この治療が最も効果的なプロゲステロンを解消する方法です。

プロゲステロンについて否定的な方もいますが、これは プロゲステロンが体に悪影響を及ぼすという研究結果があるからなんですが、この研究によると主な副作用として食欲の増加、体重の増加、ムクミ、イライラ、鬱、疲労、不眠、頭痛、吐き気、胸の張り、ニキビ、毛髪の抜け毛、乳がんのリスクを上昇などです。これらは全てプロゲステロン不足の症状を悪化させてしまうものだったんです。何故このような研究結果が出てしまったかというと、この研究で使用されたプロゲステロンは合成的に作られたプロゲスチンという薬だったんです。このプロゲスチンとプロゲステロンは構造的にも違いがあり、プロゲステロンよりも強力に作用する、体内に長期間残る、自身のプロゲステロンの製造をブロックするなどの違いがあります。この研究結果により天然型プロゲステロンの有効性は否定されてしまい、今でもプロゲステロンの副作用として認識されている方もいます。

しかしこれらの情報は古く、最新の天然型プロゲステロンを使用した研究ではこれらの副作用は通常の使用量では見られません。そして、天然型のプロゲステロンには子宮がん、乳がんの予防、妊娠を安定させて流産を予防、頭髪の育毛、インスリン抵抗性改善、性欲の改善、骨粗そしょう症の予防、睡眠の質を高める、ニキビの改善、PMSの改善、生理痛、生理不順の改善、頭痛、痛み、腫れの改善などの効果が確認されていますので、天然型のプロゲステロンを使用した治療は非常に安全です。

■プロゲステロンクリーム（医療グレード・天然成分由来）

プロゲステロンクリーム（天然成分由来）は、女性ホルモンのプロゲステロンを補充するため、もしくはエストロゲンとプロゲステロンのバランスを保つためのクリーム。使用されている天然プロゲステロンは女性の作り出すプロゲステロンと生理学的、構造学的にまったく同一なのが特徴です。PMSや更年期障害の症状改善に。
https://drsuppleusa.com/?pid=161594840

 

●　注意点
プロゲステロンクリームを使用した注意点としては、エストロゲン過多・プロゲステロン不足の原因を探らないでプロゲステロンクリームを使用し続けますと問題の先送りになりますので、食事や運動などの生活習慣の改善は同時に行ってください。また用量は必ず守るようにしてください。

追加情報

ワイルドヤム

ワイルドヤムにはプロゲステロンの原料となる成分が含まれることからプロゲステロンとしての働きがあると勘違いしている方もいますが、ワイルドヤム由来の成分をプロゲステロンに変換するには発酵、抽出、化学処理が必要です。これらは人間及び、腸内細菌では行えません。ですからワイルドヤムにはプロゲステロンの代わりにはなりません。ワイルドヤムにはプロゲステロンとしての働きがないということが科学的に立証されています。ただしワイルドヤムには子宮の緊張を解す、炎症を抑えるなどの働きがあることから生理痛の緩和などの効果が優れたハーブです。

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Reference: J. Ethnoph. 1989;27(3):327-339 JAMA 2002; 288(3):321-33. Int Jour Cancer 2005; 114(3):448-54. Cancer Causes Control 2002; 13(9):847-54. Endocr Rev. 2013 Apr; 34(2): 171–208.