血栓、心筋炎予防でL-カルニチンが今再注目されています。

L-カルニチンといえば、脂肪の燃焼を高めてダイエットに効果的、ミトコンドリアのエネルギー生産を高めるなどの働きが有名です。

最近の研究ではこれらの基礎的な働きの他にも、素晴らしい働きによりL-カルニチンは注目を浴びています。

L-カルニチンの注目の働き

血栓症予防

人工透析を行っている方には血栓ができやすく、血栓により脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こす原因にもなります。研究ではL-カルニチンを1日1000 mg、12週にわたって摂取した対象グループでは、血液を凝固させる成分のフィブリノゲンを98ポイント減少させました。フィブリノゲンは炎症が起きたときに炎症系サイトカインIL-6の分泌により肝臓で生産される物質です。また炎症マーカーであるCRPは41％減少しました。この研究は人工透析を行っている方を対象としてますが、抗血栓作用や抗炎症作用はそれ以外の対象にも有効であると考えられます。血栓は血管に傷がついたり炎症が引き金となって起こります。L-カルニチンには炎症を抑える働きと血栓を予防する効果により、副反応予防が期待できます。

心筋炎

ジフテリア菌は発熱、鼻水、のどの腫れ、咳、疲労などの症状から始まり、重症化すると呼吸困難、心筋炎を引き起こす危険な細菌です。このジフテリアに感染した子供を対象にL-カルニチンを投与したグループを調査した結果、心筋炎が原因による心不全や死亡率の低下が確認されました。ジフテリアは現在予防接種の普及により先進諸国では見られませんが、ジフテリア以外の原因による心筋炎にもL-カルニチンは効果が期待できるかもしれません。

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心筋梗塞

心筋梗塞は心臓へ血液を送っている冠状動脈への血流が、血栓や動脈硬化などによって停滞することで起こります。心臓への血液の流れが停滞することで、心臓は酸素不足、フリーラジカルの増加などにより壊死をしてしまいます。L-カルニチンは血流を増加する、代謝を改善する、フリーラジカルの発生を減少させるなどの働きにより、心筋へのダメージを軽減する効果が確認されています。

心筋梗塞を患った患者を対象に行った二重盲検比較試験では、L-カルニチンを摂取したグループでは、死亡率が27％、心房性不整脈が65％、狭心症が40％が減少しました。

間欠性跛行

間欠性跛行とは歩行中に足にしびれや痛みを伴い、しばらく休憩するとまた歩けるようになる症状です。間欠性跛行の原因は神経性のもとの血管性のものがあります。血管性の間欠性跛行は血液の流れが悪くなり、筋肉に十分な血液が届かないことで起こります。カルニチンは足の筋肉の運動能力を改善して血管性の間欠性跛行を改善する働きが見られました。研究では1日当たりカルニチンを2グラム1年間継続して摂取した結果、間欠性跛行を患っている方の歩行距離、歩行時間に大幅な改善が見られました。また他の研究では歩行のスピード、歩行中の足の痛みにも大幅な改善が見られました。

L-カルニチンの副作用

L-カルニチンは非常に安全な成分ですが、まれに胸やけや胃もたれをもたらすことがあります。またL-カルニチンを大量に摂取すると体臭が強くなるとの報告もありますが、深刻な副作用は長期にわたる研究も報告されておりません。

まとめ

抗血栓作用、抗炎症作用、血行促進作用、心筋保護作用、心筋の代謝促進などの働きから、L-カルニチンには心臓や血管の健康にとって非常に有益な働きがあると言えます。L-カルニチンを多く含む食品は肉ですが、肉の食べ過ぎは心臓や血管の健康にとってはむしろ逆効果となりますので、サプリメントでの摂取が望ましいです。L-カルニチンの長期摂取は安全性が確認されています。心臓や血管の健康が気になる方、また最近話題となっている副反応による血栓や心筋炎の予防効果にも研究者や専門家の間では期待が寄せられています。

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L-カルニチンは脂質を効率よく燃焼することから運動と組み合わせることでダイエットに効果的ですが、最近ではL-カルニチンには炎症を抑える働きと血栓を予防する効果が注目されています。心臓や血管のサポートに。
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Reference: Ren Fail. 2010;32(9):1109-14. Pediatr Res. 1984 Sep;18(9):815-9. Cardiovascular Research, Volume 51, Issue 1, July 2001, Pages 21–29 Therapeutic effects of L-carnitine and propionyl-L-carnitine on cardiovascular diseases: a review. Ann NY Acad Sci 2004;1033:79-91. Metabolic treatment with L-carnitine in acute anterior ST segment elevation myocardial infarction. A randomized controlled trial. Cardiology 2006;106:215-23. L-carnitine in the secondary prevention of cardiovascular disease: systematic review and meta-analysis. Mayo Clin Proc 2013;88:544-51. European multicenter study on priopionyl-L-carnitine in intermittent claudication. J Am Coll Cardiol 1999;34:1618-24. Propionyl-L-carnitine improves exercise performance and functional status in patients with claudication. Am J Med 2001;110:616-22. Propionyl-L-carnitine improves exercise performance and functional status in patients with claudication. Am J Med 2001;110:616-22.