ポップコーンは栄養価が高く体にいい！効能と健康的なポップコーンの作り方も紹介

The Popcorn Board という全米ポップコーン製造業者団体によると、アメリカにおけるポップコーンの年間消費量は130億クォート（米乾量/約143億リットル）、一人当たり平均42クォート（米乾量/約46.2リットル) だそうです。ちょっと、わかりにくいですね。では、各人、1年間で牛乳１Lパック46個分のポップコーンを食べていると考えてみてください。アメリカ人の「ポップコーンラブ❤」ぶり、おわかりいただけるでしょうか？スーパーマーケットのポップコーン売り場面積は広く、ポップコーン用シーズニングも多彩です。映画鑑賞やスポーツ観戦のお供であることはもちろん、お土産やギフトにもよく利用されます。キャラメルやチョコレートでコーティングされた甘—いポップコーンも大人気！

さて、アメリカの国民的スナックとも言えるポップコーンは、身体に良いのか悪いのか？　残念ながら、この疑問に対して明確な答えはありません。なぜなら調理次第で、身体に有益にもなり、有害にもなるからです。ポップコーンが私たちの味方となるか敵となるかは紙一重。でも、ちょっとした心がけや工夫によって、ポップコーンは私たちの強い味方として多くの健康効果をもたらしてくれるのです。

ポップコーンが不健康なジャンクフードになってしまう理由

♦  調理用オイル

ある調査で、アメリカ大手の映画館チェーンで販売されているミディアムサイズのポップコーンとソーダのセットは1610カロリー、飽和脂肪60グラムも含まれていることが判明しました。アメリカ食品医薬品局（FDA）が推奨する1日あたりの飽和脂肪摂取量は20グラム以下とされています。つまり、映画を観ているわずか２時間あまりで、3日分の飽和脂肪を摂取しているのです。ポップコーン自体の飽和脂肪は非常に低いので、この多量の飽和脂肪は調理に使われる油によるものと考えられます。飽和脂肪を摂りすぎると、血液中の悪玉コレステロールが増加し、動脈硬化や心臓血管系疾患を起こすリスクが高くなります。

♦  COP/突発性器質化肺炎（閉塞性細気管支炎）
ポップコーンのバター風味の香料に使われるジアセチルという化学物質は呼吸器疾患を引き起こすことがわかっています。実際、電子レンジ用ポップコーン梱包工場の従業員に突発性器質化肺炎（COP)の発症が認められました。一般的にジアセチルを大量に吸い込むことでCOP を引き起こすと考えられていますが、ジアセチルによるバター風味ポップコーンを大量に食べ続ければ、一般消費者の呼吸器官にも悪影響が出る懸念があります。アメリカでは、商品の原材料欄に「香料」とのみ記載されており、何によって風味づけられているのか判らないようになっています。

香料以外にも、市販のポップコーンやトッピングには着色料や食品添加物（偏頭痛を引き起こすMSGなど)を含むものがあります。

♦  農薬
ポップコーン用のコーン栽培には、ネオニコチノイド系農薬が散布されることがあります。ネオニコチノイドは摂りすぎると神経系に影響を及ぼし、物忘れ、手指振戦（ふるえ）、頭痛、疲労などを引き起こす可能性があります。

♦  過去に起こった問題点：電子レンジ用ポップコーンの包装袋

ここで言う「電子レンジ用ポップコーン」とは、ポップコーン粒入りの袋をそのまま電子レンジで加熱することで袋内のコーンがポコポコ破裂する仕組みの商品のことです。袋の内側加工に使われているコーティング剤が、加熱により、テフロン加工調理器具などに使われるペルフルオロオクタン酸(PFOA) に分解されるということが問題になりました。PFOA は臓毒性があり、ガン、甲状腺疾患、生殖器への悪影響などのリスク要因になると指摘されています。アメリカでは、環境保護庁(EPA)主導の下、2015年までにPFOA 製品の段階的廃止を目指す自主規制プログラムに主要フッ素化学メーカーが同意し、現在は全廃されていると言われています。とはいえ、現在そして今後どのような材質の包装紙や容器が使われるか、引き続き注視していく必要があると思われます。

ポップコーンの健康効果

前項ではポップコーンのネガティブな点を挙げてしまいました。でも、ポップコーンを食べることを怖がらないで！ポップコーンそのものには私たちの身体に良い栄養がたくさん詰まっているのです。

♦  全粒穀物

ポップ種（爆裂種）のとうもろこしが原料であるポップコーンは、胚芽・ふすま・胚乳・外殻を有する全粒穀物です。胚芽は、ビタミンE、タンパク質、ビタミンB群、ミネラルを含みます。ふすまには豊富な食物繊維に加え、ビタミンB群、ミネラル、タンパク質、そして抗酸化物質があります。胚乳は若干のタンパク質と食物繊維を持つデンプンで構成されます。この全粒穀物の栄養が、様々な健康効果をもたらします。

♦  食物繊維
豊富な食物繊維が消化機能を改善するのはもちろんのこと、血管や動脈の壁から余分なコレステロールを剥がし、血中コレステロール値を減らします。その結果、心臓血管系疾病のリスクを下げることにつながります。また、食物繊維は血糖値の正常化を助ける作用があるため、2型糖尿病の発症リスクを軽減します。

♦  ダイエットに効果的
1カップのポップコーンはわずか30カロリー。その中に含まれる食物繊維が空腹ホルモンであるグレリンの分泌を抑制するため、食べ過ぎを防ぎます。

♦  抗酸化物質
ポップコーンには果物や野菜よりも高い抗酸化物質ポリフェノールが含まれています。ある研究でポリフェノール含有量を計測したところ、果物には160mg、ポップコーン一食分にはなんと300mgのポリフェノールが含まれていました。多くの果物や野菜は90%が水分であるのに対し、ポップコーンはわずか4%しか水分を含まないことが、ポップコーンのポリフェノール濃度が高い所以です。ポリフェノールにはフリーラジカルによって引き起こされる数々の疾病や症状を予防する効果があります。例えば、ガン、しみ、シワ、黄斑変性症、筋力低下、認知症、アルツハイマー症など。

♦  健康な骨づくり
ポップコーンには、健康な骨を作ったり骨密度を保つのに有効なマンガンが豊富に含まれています。骨粗しょう症、関節炎、変形性関節症などの予防が期待されます。

♦ ポップコーンに含まれる栄養素内訳

さてポップコーンに含まれる栄養素の内訳をみてみしょう。

アメリカの計量カップ（236.5㏄）で約3.5杯（約28.35ｇ）のポップコーンのカロリーは、110Kcal、タンパク質3.67ｇ、脂質1.29ｇ、ナトリウム2.27㎎、食物繊維4.11ｇ、カルシウム1.98㎎、マグネシウム40.8㎎、リン101㎎、カリウム93.3㎎、マンガン0.316㎎、ナイアシン（ビタミンB3）0.654㎎、パントテン酸（ビタミンB5 ）0.145㎎と、ご覧のようにポップコーンは低カロリーなのに、食物繊維、ビタミンやミネラルが豊富な栄養価の高いおやつといえますね。

♦  今のところ遺伝子組み換えのコーンではない
現在、アメリカで生産されるトウモロコシの約90%が遺伝子組み換え作物（GMO) です。GMO はアレルギーやガンを引き起こす可能性が指摘されています。ところが、嬉しいことに、ポップコーン用のコーン（爆裂種）は遺伝子組み替えによるものではありません。

但し、遺伝子組み換え「でない」ポップコーン用のコーンでも、一部のコーンから残留農薬が確認されたとする報告もあります。信頼できるお店でオーガニック商品を購入するのがよいでしょう。

ポップコーンの健康効果を得るにはどうしたら良いの？

ズバリ、自分で作るべし！ポイントは以下の通りです。

1. ヘルスフードストアなどで販売されている良質なオーガニックのポップコーン乾燥粒（ポップコーン・カーネル）を使いましょう。
2. 調理用のオイルは、ココナッツオイルやオリーブオイルなど健康的なオイルを選びましょう。
3. 厚手のステンレス鍋を使ってください。テフロンなどノンスティック加工鍋はPFOA の心配がありますので、避けてください。
4. シンプル・イズ・ベスト！単に加熱しただけのものが最適です。でも、味付けしたい場合には、ほんの少量のシーソルトやオーガニックバターは可。或いは、ニュートリショナルイースト、ローズマリー、ガーリックパウダー、パプリカ、ドライタイム、カイエンペッパーなどもおすすめです。
5. 多量の塩分、身体に悪いオイル、砂糖、食品添加物を含む人工調味料やトッピングを使うと、一転、不健康なジャンクフードになるので気をつけて！

注意点

ポップコーンによりアレルギー反応、体調不良、不快感が出たら、速やかに中止し、主治医に相談してください。

※2020年3月9日、情報を追記しました。