サイトカインストームを予防する

世界的にまだまだ、その脅威を轟かせている新型コロナウイルスですが、新型コロナウイルスによる感染症が、何故深刻な被害をもたらすかというと、それはサイトカインストームを引き起こすからと言われています。

サイトカインストームとは？

サイトカインストームとは免疫の異常反応の一つです。免疫とは本来は外敵から体を守るもので、サイトカインは主に白血球などから放出されます。サイトカインは免疫反応をコントロールする上で非常に重要な役割をしています。サイトカインにはいくつも種類がありますが、主に炎症を引き起こす「炎症系サイトカイン」と炎症を抑える「抗炎症系サイトカイン」があります。この炎症を引き起こす「炎症系サイトカイン」が爆発的に放出されコントロールできない状態をサイトカインストームと呼びます。

サイトカインストームが引き起こされると炎症が強くなりすぎて、正常な細胞を傷つけ、多臓器不全や血栓を引き起し、脳梗塞、心筋梗塞なども引き起こす危険な状態です。

そのサイトカインの中でも炎症系のインターロイキン－１B、インターロイキンIL－18と呼ばれるものが、コロナウイルスにより過剰に分泌され呼吸器への深刻なダメージ（肺炎など）を引き起こすことが最近の研究でわかってきています。

そこで、本ブログではサイトカインストームを予防する天然成分や栄養素を紹介したいと思います。

ケルセチン

ケルセチンはフルーツや野菜などに豊富に含まれるフラボノイドの一種です。ケルセチンは、強力な抗酸化作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗ガン作用、抗血糖作用、血管保護作用、血圧低下作用、抗血栓作用などの作用のある事が報告されてます。

最近の研究では、ケルセチンはインターロイキン－１Bの生産をブロックすることが報告されています。また多くの研究でケルセチンに抗ウイルス作用があることが報告されています。

ケルセチンとウイルスの研究を簡単にまとめました。（興味のない方は飛ばしてください。）

• ケルセチンはヘルペスウイルスに対して抗ウイルス作用を培地で示しました。

• ライノウイルス、エコーウイルス、コクッサキーウイルスが引き起こす細胞変性を抑制しました。

• ライノウイルスに感染したマウスに対して、ケルセチンはウイルスの増殖を減少させました。

• ケルセチンは、C型肝炎ウイルスの活性を抑制し、C型肝炎ウイルスを減少させました。

• インフルエンザウイルスに対して、ケルセチンを摂取したグループはインフルエンザに罹りにくく、肺を含む呼吸器での抗酸化物質の上昇とダメージの減少が確認されました。

• ケルセチンは、風邪などの呼吸器疾患の症状を軽減する効果が確認されました。

等々、ケルセチンの抗ウイルス作用に関する研究は多くあります。

ケルセチンの抗ウイルス作用をまとめると、ケルセチンはウイルスのポリメラーゼ、プロテアーゼ、逆転写酵素を抑制する、デオキシリボ核酸ジャイレース、ウイルスのタンパク質の結合を防ぐことでウイルスの感染、増殖を低減してくれます。

また、ケルセチンには炎症を引き起こすサイトカインIL-B、 IL-8、 IFN-g、 TNF-aの分泌を抑制することで、感染症にかかった時の症状を緩和してくれます。

ケルセチンを使用した人間への臨床データでは、ケルセチンを毎日150mg、6週間に渡り摂取したグループでは、炎症を引き起こすサイトカインTNF-aを大幅に減少させました。他の研究では白血球の一つ、マスト細胞から放出される炎症系サイトカインの分泌を抑制することも確認されていることから、サイトカインストームを予防する効果が期待できます。

ケルセチンと新型コロナウイルス

新型コロナに対してのケルセチンの人間への臨床研究では、トルコで行われた研究があります。その研究では新型コロナに感染している入院患者95人がケルセチンを毎日1000mg、病院勤務の医師や看護師などがケルセチンを毎日500mg摂取しました。また、ケルセチンと一緒にビタミンC、ブロメライン（パイナップル由来の抗炎症作用がある天然成分）を摂取しました。研究の結果、ケルセチン、ビタミンC、ブロメラインを摂取した医療関係者には、新規の新型コロナの感染が起こりませんでした。また、ケルセチンを摂取した入院患者の新型コロナによる死亡件数は０でした。

この研究はいわゆる二重盲偽薬コントロール検査ではありませんが、新型コロナが蔓延している状況では非常に有意義な予防方法を提唱していると思います。

ケルセチンを使用したコロナウイルスの研究

新型コロナ（SARS-CoV-2）ではありませんが、近種(SARS-CoV)コロナウイルスに対してケルセチンを使用した研究では、ケルセチンはコロナウイルスの侵入を防ぎました。

ケルセチンがコロナウイルスの侵入を防ぐのはいくつかのメカニズムによるもので、コロナウイルスのスパイクプロテイン、RdRp、PLpro、Mpro酵素などをブロックすることが研究で確認されています。またコロナウイルスが体内に侵入する時に結合するACE２受容体を塞ぐことでも、コロナウイルスの感染率を下げるものだと考えられます。

また、他の研究では、ケルセチンはコロナウイルスの複製を製造するプロセスをブロックすることも確認されています。

新型コロナウイルスのもう一つのリスクは、血栓を引き起こし脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めることですが、ケルセチンには抗炎症作用の他に抗血栓作用も持ち合わせています。ケルセチンの抗血栓作用はコロナウイルスの症状予防に考慮すべき点です。

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ビタミンC

ビタミンCは、ウイルス感染症に対して非常に重要なナチュラルキラー細胞やT細胞といった白血球の活動を高めてくれます。感染症にかかった時には体内のビタミンC濃度は急速に低下していきますので、継続的にビタミンCを摂取する必要があります。実は人間以外の哺乳類は全て体内でビタミンCを合成する事が可能で、感染症にかかった時にはビタミンC濃度が急速に上昇します。

ビタミンCには抗酸化作用、抗炎症作用があり、ビタミンC点滴をうけた新型コロナ患者は、ビタミンC点滴を受けなかった患者と比較して重症度が顕著に改善されたという報告がされています。

また、ビタミンCとケルセチンのコンビネーションの相性は良く、いくつかの研究ではビタミンCとケルセチンを同時に摂取することで、インフルエンザや他の呼吸器感染症の症状緩和、死亡率低下、罹患率の低下などが確認されています。

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まとめ

新型コロナウイルスの危険性は、サイトカインストームを引き起こす事が挙げられますので、サイトカインストームを予防することが新型コロナウイルス感染症の重症度や死亡率低下に繋がります。

ケルセチンは野菜やフルーツに含まれる天然のフラボノイドです。ケルセチンには抗炎症、抗酸化、抗アレルギー、抗血栓作用などの働きがあります。今までのケルセチンとウイルス感染症の研究結果から、ケルセチンには炎症を引き起こすサイトカインの分泌を抑制してくれる事が分かっています。また、ケルセチンはコロナウイルスの侵入や、増殖のメカニズムを防ぐ働きが確認されていることから、サイトカインストームを予防する効果が期待できます。

ケルセチンとビタミンCを同時に取ることでお互いの働きが高まることから、さらなる効果が期待できそうです。

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次回のブログではサイトカインストームを予防するビタミンを紹介したいと思います。

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