カンジダ・ダイオフ (Candida Die-off) 　

体内に増えすぎたカンジダを一気に駆除しようとすると、かえって症状が悪化してしまうことがあります。これをダイオフと呼びます。ダイオフは、抗カンジダサプリや抗真菌薬を使用した時のほか、急激な糖質制限やグルテンフリーダイエットを実践した時にも現れることがあります。

ダイオフはカンジダ除菌開始から間もなくして現れ、あれよあれよという間に気分が悪くなってしまうので、不安に駆られたり、中には除菌治療を中断してしまう人もいます。今回は、そのダイオフ期間をどう凌ぐか？というお話です。ダイオフの期間を乗り切ったとき、再びエネルギーや集中力が高まり、それまで悩んでいた症状が緩和されていることに気づくはずです。

カンジダとは？　

ダイオフを説明する前に、カンジダとは何か、そしてカンジダが異常増殖する原因について解説します。

私たちの体内には多種多様な常在菌が定住しています。カンジダ（真菌）もそのひとつで、口腔、腸管、膣などを住処としています。通常、カンジダは「酵母型」として存在し、悪さをしません。しかし、何らかの原因により、カンジダが酵母型から「菌糸型」に形態を変えながらどんどん増殖し、炎症を引き起こすのがカンジダ症です。

中でも、腸のカンジダ異常増殖はなかなか厄介です。「菌糸型」となったカンジダが、糸を伸ばしながら腸粘膜や上皮細胞間の隙間を押し広げるように侵入していきます。この侵入に対する免疫反応として、炎症や過剰な免疫応答（アレルギー）が誘導されます。また、腸粘膜は荒れ、その隙間から本来通過することのない異物が血中に流れ出てしまいます。これらの物質が血液循環を介して体のあちこちに運ばれ炎症を起こすことで、自己免疫疾患やアレルギーなど、さまざまな疾病が引き起こされ

カンジダが異常増殖する原因はいくつかあります。病気やストレスによる免疫力の低下はそのひとつです。また、抗生物質の使用による正常細菌叢の乱れもカンジダの増殖を促します。なぜなら、抗生物質は細菌を退治する一方で真菌には全く無効だからです。さらに、カンジダは糖類をエサとしているため、甘いものを摂りすぎると、どんどん増えてしまいます。　　

≪併せて読みたい≫
ちょっと厄介なカンジダ症のお話　～ウザいのウザいの飛んで行け〜！　

ダイオフとは？　

抗菌薬を投与後、“一時的に”発熱や極度の疲労、体調不良が出現することがあります。これを「ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応」と呼びます。ダイオフとは、体内のカンジダを急激に除去する際に起こるヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応のこと。“好転反応的”な体調不良であり、時間の経過とともに解消します。

何故ダイオフは起こるのか？

現在のところ、ダイオフに関する研究はほとんどなく、そのメカニズムはよくわかっていません。しかし、「ダイオフは、カンジダが死滅する際、内部にあるさまざまな毒素が一気に放出されることに起因する」という説が有力視されています。カンジダから放出される毒素はアセトアルデヒトを含め70種類以上あるともいわれます。

毒素が一気に放出されると、サイトカインが産生され、炎症を引き起こします。炎症は毒素や病原菌から体を守る防御反応ですが、発熱や痛み、リンパ節の腫れなどが現れることがあります。また、急激なカンジダ除菌による毒素の大量放出は、肝臓の解毒処理機能に相当な負担をかけることになります。

ダイオフの症状例

• インフルエンザのような症状（発熱や悪寒）
• 疲労感
• イライラや不安感
• 頭痛
• 鼻づまりや喉の痛み
• 便秘や胃腸トラブル
• 膨満感・ガス
• 関節痛・筋肉痛
• 吹き出物・皮膚の痒み・発疹                             

ダイオフが続く期間

ダイオフの症状は、カンジダ除菌（サプリメントや薬の服用など）を始めてすぐに出現しますが、通常は3〜10日でおさまります。

ダイオフの重症度を左右する要因

ダイオフの重症度や回復までの期間は、以下のような要因に左右されます。

• カンジダの死滅の量とスピード（これにより体にかかる毒性負荷の大きさが決まります）
• 免疫システムのはたらき（体が作り出す炎症の量）
• 体内の毒素を排出するための解毒システムの有効性

この要因を念頭においておくと、ダイオフをできるだけ軽減するためにどのようなアプローチをすればよいかが見えてきます。

ダイオフを軽減するにはどうしたらよいの？

♦ カンジダを徐々に減らしていく

カンジダを一気に除菌すれば、それだけダイオフの症状も派手に出現します。元々カンジダ異常増殖による体調不良で肝臓や副腎が疲れているところにきて、カンジダ死滅過程で毒素が放出されるのですから、肝臓による解毒が追いつかないことも。そこで、ドラスティックなカンジダ除菌ではなく、徐々にカンジダを減らしていくというオプションも考えてみてください。抗カンジダサプリメントや抗真菌薬を使用してカンジダ除菌治療を行う場合は、低用量からスタートし、体調をみながら少しずつ増やしていくという方法もあります。

また、カンジダ除菌治療を開始する前に、あらかじめ肝臓や副腎の調子を整えておくことも大切です。

♦ カンジダの好物は控えめに

カンジダを減らす努力をする一方で、カンジダの好物をどんどん摂り入れては元の木阿弥。カンジダのエサとなる糖質は控えめにしましょう。　

♦ 炎症に打ち勝てる体づくり　

カンジダから毒素が放出されると、免疫反応（体の防御システム）として炎症が起こります。ところが、心身ストレスや睡眠不足などによって副腎や甲状腺の働きが弱っている状態では、炎症を抑えるのはなかなか困難。まずは休息やストレスの軽減を心がけましょう。そして、体内のストレスや炎症を招くような習慣（喫煙、アルコールやカフェインの過剰摂取、環境汚染物質への暴露など）を改めましょう。

さらに、抗炎症作用のある食品やサプリメントを取ることで、炎症によるダイオフ症状を軽減することができます。　

♦ 解毒＆毒素排出

体の解毒機能を最適にし、さらには体外への排出を促すことが大切です。

• 肝臓がオーバーワークにより機能が低下すると、肝臓で解毒処理しきれない有害物質が体内を循環することになります。肝臓を保護・サポートする食事や栄養摂取を心がけ、肝機能低下を防ぎましょう。
• 毒素と結合して体外に排出する効果のある成分を摂取すると、解毒のスピードアップにつながります。
• 水をたくさん飲むこと！シンプルな行為ですが、毒素を体外に排出するにはとても重要です。
• エプサムソルト（硫酸マグネシウム）を入浴剤として利用することもおすすめです。1)リラックス効果 2)抗炎症作用による筋肉痛や関節痛の軽減効果　3)膵臓を刺激して消化酵素を生成し、有害物質の排出を促す効果を有する硫酸塩が含まれること、の3つがエプサムソルトの利点として挙げられます。

ダイオフを軽減する成分（サプリメント）

「免疫」「肝機能」「解毒」を助ける成分を摂り入れると、ダイオフの症状は最小限に抑えられ、症状からの回復を早めることも可能です。

♦ 免疫グロブリンIgG

免疫グロブリン（抗体としての機能と構造をもつ血清タンパク質）には5種類ありますが、そのなかで血清中に最も多く含まれているのがIgG。免疫グロブリンIgG はウイルスや毒素などの抗原に結合し、抗原の感染力や毒性を無力化させる働きがあります。また、免疫グロブリンIgGは白血球の働きを助け、免疫力アップに寄与します。

ダイオフがあまりにもひどく、カンジダ治療を途中で諦めてしまう人がいますが、免疫グロブリンIgGを摂ることでダイオフの症状を抑えながら、カンジダ除菌を継続することが可能です。

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免疫グロブリンは血液や体液中にあって抗体としての機能と構造を持つタンパク質の事。免疫グロブリンの中でもIgGは、最も多く血液中に存在しています。免疫グロブリンIgGは白血球の働きを助けたり、ウイルス、細菌、カビが出す毒素と結合して無毒化する効果があります。
https://drsuppleusa.com/?pid=143856036

 

♦ グルタチオン

抗酸化物質としてもおなじみのグルタチオンには解毒作用もあります。体内の有害物質はグルタチオン抱合によって中和され、便や尿を通じて体外に排出されます。また、肝臓に多く含まれるグルタチオンは、肝臓の解毒機能にも欠かせない成分です。　

また、グルタチオンの前駆体であるN-アセチルシステイン(NAC)、グルタチオン産生やリサイクルに必要なアルファリポ酸も、それぞれ抗酸化作用と解毒作用を有しています。

♦ ミルクシスル

このハーブに含まれるシリマリンという成分は、肝臓の保護や再生に作用します。

♦ ガーリック（ニンニク）

殺菌効果、免疫力の向上に有効なほか、肝臓の解毒機能を保護するはたらきがあります。食べるなら、1日に1片（生食）が目安です。

♦ ターメリック（ウコン）

ターメリックには抗酸化作用、抗炎症作用、そして胆汁の分泌を促進することによって肝臓の解毒機能を高める効果があります。　

♦ ビタミンC

免疫機能の強化、皮膚や粘膜の健康をサポート、そして感染症の予防や症状緩和に有効な成分です。　

♦ マグネシウム

腸の動きを活発にするマグネシウムは、便秘の予防・改善し、体外への毒素排出を助けます。　

♦ オメガ3不飽和脂肪酸やケルセチン

いずれも優れた抗炎症作用を有しています。　　

♦ プロバイオティクス

プロバイオティクスは腸内環境を整えてカンジダが繁殖しにくい環境を作り出すだけでなく、免疫力を高めアレルギーを引き起こしにくくしてくれます。（但し、中にはプロバイオティクスや発酵食品の摂取によってダイオフの症状がさらに悪化する人もいます。その場合には一時的にプロバイオティクス摂取をお休みして、様子をみてください。ダイオフ症状がおさまってきたら、摂取を再開してください。）

■キラープロバイオティクスG

SIBO、カンジタ菌に。抗菌、整腸、腸管修復作用をあわせもつバチルス菌と、腸管保護、細菌排出作用の免疫グロブリンのダブルアクションで小腸の腸内細菌バランスを強力に整えます。
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Reference: PLoS One. 2014 May 27;9(5):e97864. doi: 10.1371/journal.pone.0097864. eCollection 2014. Journal ofeISSN: 2373-4310Nutritional Health & Food Engineering Vol 4-3 Nature Reviews Microbiology volume 9, pages737–748(2011) Am J Dermatopathol. 2015 Jun;37(6):e68-74. doi: 10.1097/DAD.0000000000000093. Clin Chim Acta. 2003 Jul 1;333(1):19-39. doi: 10.1016/s0009-8981(03)00200-6.